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“ 学園モード ” |
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▼ 雑誌などを見ると良く「自由度の高いゲーム」と書かれているが、これだけではピンとこないだろう。“自由度の高さ”を売りにして成功したゲームってごく少数だし。
実際のところは、公式サイトの説明の中でも触れられている通り、「人間関係のゲーム」……
つまり「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)のゲーム」だと言える。
▼ たとえばドラクエなどで、そのへんを歩いている町の人を想像してみて欲しい。彼らは一日中ずっと同じところを歩き回り、話し掛けてもせいぜい数種類のメッセージが返ってくるだけだ。 ましてパラメータなど全く無く、主人公のようにレベルアップもしなければ、モンスターと戦闘することなどもできるはずがない。
ところが『ガンパレード・マーチ』では、21人(+猫と先生)の主要NPC全員に、主人公と全く同じ条件が与えられているのだ。
彼らはちゃんと主人公と同様のパラメータや技能、アイテムを持っているし、それらはゲームの進行に合わせて変動していく。
極端な話、主人公のパイロットとしての役目を他の脇役に譲り、自分は機体の整備や事務作業やガールハントや靴下集めだけに精を出していたとしても、ゲームはちゃんと進行するのである。
▼ もちろん、真面目にプレイする場合でもNPCの存在は重要だ。自分一人が、パイロットとしてどれだけ腕を上げたところで、自分の機体を修理してくれる整備士や他のパイロット、装備や物資を調達してくれる事務官たちの能力が低ければ、生き残ることなどできやしない。
▼ 主人公と言えど完全無欠のヒーローなどではなく、仲間たちに支えられて存在しているのである。そのことを、とってつけたようなイベントや飾った言葉ではなく、システム的に実感させてくれるゲーム……それがこの『ガンパレード・マーチ』だ。
▼ そして今日も我らが主人公は、友人と一緒に訓練してスキルを教えてもらったり、上官にプレゼントをして御機嫌をとったり、三角関係のもつれで恋人に刺されたりしながら、死と隣あわせの青春を謳歌するのである。……最後の例は隣あわせというか、ホントに死ぬけど。
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“ 戦闘モード ” |
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▼ ゲームの最終目的は、(いちおう)幻獣との戦争に終止符を打つことである。実戦は常に唐突にやってくる。その戦闘に備えるのが “学園モード” というわけだ。
この戦闘モード、雑誌などで画面写真を見ただけでは、「なんだか貧相で単純そう」という印象を受けるかもしれない。たしかに、華美な装飾などいっさい無い戦闘画面は実にシンプルである。
しかしナメてかかってはいけない。軽い気持ちで実戦に挑むと、冗談抜きで死ぬ。
▼ この戦闘モードでのポイントは、ターンの最初の行動決定の時点で、いかに敵の行動を読み、コマンドを先行入力するか、ということだ。うまくタイミングをはかり、敵を射程内におびき寄せた時点で発砲。そして相手が反撃してくる前に横飛びで逃れる。
慣れないうちはかなり難度が高く、操作が面倒だと思うのかもしれないが、そもそも人型ロボットをそうそう自在に操れるものではないと考えれば納得が行く。思い通りに言うことを聞かない機体をいかに使って敵に勝つかがパイロットの腕の見せ所というわけだ。
▼ また、そこらの戦術シミュレーションゲームと違うところは、ただその一戦だけ勝てばいいというもんじゃないこと。機体に受けたダメージは次の出撃までに整備しておかねば回復しないので、「耐久力の限界まで粘ってボロボロになりながら敵を殲滅」 というような戦い方は、この 『ガンパレード・マーチ』 では必ずしも正しいとは言えない。
結局、その次の戦闘ではロクに動けない状態に陥りかねないからだ。そうなるぐらいなら、多少敵を逃しても、ダメージを受けずに済ませたほうがいい。
長丁場になる戦争であるということを常に頭に入れておこう。
仲間についても同様である。戦死者が出ても人材の補充はない。気をつけるべし。
▼ これは、断じて「ロボットとモンスターがバトルするゲーム」ではない。“戦争”というものを体験するゲームなのだ。